親指(母指)で圧迫するテクニックは、あんまマッサージや指圧でも見られる最もポピュラーなテクニックのひとつです。指圧等では、指の腹に体重をかけて圧迫するのが基本ですが、タイ古式マッサージでは指の腹だけでなく、第1関節の骨を使ってつかむようにしながら圧迫するようにするのが特徴です。手の向きは部位や身体の形状に合わせていろいろな向きになります。ポイントは、残りの4本の指。身体に触れて母指を安定させるのがポイントです。身体に触れないようにすると、母指が安定しないため、当然ながら安定した圧迫ができなかったり、セラピスト自身の手を傷める原因となります。また、レシーバーの感覚としても、常にどこかが触れられていることで安心が伝わり、癒しの気持ちが伝わるというものなのです。
写真のように、全身の部位に対する施術に用いられます。力加減は体重の乗せ方や指の重ね方等で変化させることができます。左右の指を重ねることで、圧迫は強くなりますし、体重を100%乗せることで、圧迫は強くなります。
母指での圧迫における注意点は、必ず手でアーチを作ること。母指と残りの4本の指でハイヒールのようにアーチを作りましょう。母指をかかとに見立ててください。人間の足も同じこと。偏平足では長時間の歩行は困難ですね。こうした施術においても同じです。自分自身が関節を痛めてしまってはもともこもありません。
もうひとつは、手や指の力に頼らないこと。圧迫は、指を介してレシーバーの筋肉にセラピストの体重を乗せていくもの。ですから、多くのパートで肘を曲げずに一本の棒に見立てて体重が伝わりやすくしているのです。手の力だけで押そうとすると、手の筋肉が耐え切れずに震えが生じてくるものです。こうした震えは、不快なものとしてレシーバーは受け取ります。手に力を入れてしまうと、手や指先の筋肉は硬くなり、レシーバーにとって堅い感覚になってしまいます。それだけでなく、セラピストが力を入れることで、レシーバーの身体状況を感じ取ることが困難になってしまいます。
一般的にタイ古式マッサージは、センというエネルギーライン上を母指でまず圧迫するところから始まります。両手をそろえて行う場合と片方ずつ交互にウォーキングする場合とがあります。いずれにしても表面の皮膚を滑らないようにしましょう。皮膚の表面を滑らせると皮膚を傷つける恐れがあります。これは嫌な痛みです。また、骨自体を強く圧迫することも同じように避けなければなりません。多くの部位では、皮膚の下に通常脂肪があり、筋繊維(筋肉)はまたその下にあります。脂肪細胞を圧迫することは、こうした施術では無意味です。筋肉を捉えていることを常に意識しながら、確実に筋肉に対するアプローチを心がけましょう。慣れないうちは、凝った筋肉と骨との違いがわからない場合も多いようです。
電話帳の間に5円玉を置いて、紙の下にある貨幣の穴を感じる練習をするといいでしょう。最初は表紙の裏において触ってみてください。できたら、2ページ目、3ページ目と奥のほうに置いて感じてみてください。あなたは何ページ目の穴まで感じることができますか?何よりも指先の感覚を研ぎ澄ませておくことが上達への近道といえます。
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