■体調カウンセリング
セラピスト、治療家としてクライアントの施術を対応するにあたって、最も重要なことは、クライアントのニーズやウォンツを正しく把握することです。セラピストは限られた時間の中でクライアントの望むことを提供する役割だからです。形のない商材を取り扱っているわけですから、クライアントが望むことを、言葉やしぐさ、姿勢や歩き方、さまざまなポイントから観察し理解する必要があります。クライアントの体調を明らかにしておくことは事故を未然に防ぐ意味でもとても重要なことです。
クライアントを観察する機会は、店の形態や運営スタイルによっても異なりますが、最初に電話かメールで問い合わせがあるかもしれません。電話であれば、声のトーンや張り具合、声の質や話し方などによってもある程度の予想がつくものです。メールであれば、相手の不安点や悩み、思いなどを文中から読み取る必要があります。
次に予約が入るタイミングです。電話かもしれませんし、メールフォームかもしれません。SNSを経由するかもしれませんし、ラインかもしれません。あるいは、ポータルサイト経由かもしれません。
そして、ご来店時に、初めて対面で観察することができます。直接会うことで、相手からの話を聞くだけでなく、セラピストもクライアントの姿勢や歩き方、動作や体型を見て観察することができます。靴の減り具合から、体重の偏り方や歩き方の癖などをチェックすることができます。
通常は、ここからフットバスで足を軽く揉みながら、直接体調をカウンセリングすることになります。フットバスに入ってもらいながら足裏を触ることで、反射区の状態からクライアントの身体状況をある程度把握することも出来ます。この場面は、コミュニケーションを図る場面ですから、気になる部位や一番気になっている主訴を聞くのもこのタイミングでしょう。
リラクゼーション系の店舗では、この後、マットやベッドに横たわってもらって施術をスタートするわけですが、実はまだ体調カウンセリングは終わっているわけではありません。先ほどヒアリングしたデータを元に実際に身体を触って確認していく作業が残っています。
例えば、「肩が凝っている」と言われても、肩のどの部分がひどいのかわかりませんし、「腰や背中が張っている」と言われても、どの辺りがどのくらいの硬さなのかは触ってみなければわかりません。力加減だって、好みはまちまちですし、痛くてもガンガンやって楽にしてほしい方もいれば、逆に痛いのは恐怖だから、とにかく痛くないように気を使ってほしいという場合もあります。同じ人でも部位によって好む圧は異なりますし、相手のニーズにピタッと合わせることができれば、きっとその方は喜んでくださいます。次回の予約にもつながりますし、個人指名にもつながります。学んだ技術は引出にしまっておいて必要な場面で適切に使うというのがプロというものです。
オーダーメイドの施術では、このようにいくつかのタイミングでクライアントのニーズやウォンツを明確にしていくものです。それによって、どの部位から始めるのか、どんなテクニックを使うのか、どんな組み立て方にするのかが自然に決まってくるものです。そして、オーダーメイドの場合には、施術中もある意味でカウンセリングが続きます。必要なことは聞きながらクライアントの要望に応えていくことが必要なことです。
体調のカウンセリングは、セラピストや治療家にとって、最重要事項です。人気が出る、出ないはカウンセリング力にかかっていると言っても過言でないほど重要なものです。
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