■市場調査の方法
市場調査の方法市場調査は事業計画作成の基礎となる大切なものです。市場が求めるものを市場が求める形で的確にいかに提供できるか。それを理解するための市場調査は、事業開始の前段階として非常に重要な意味を持っています。
とは言っても「実際にどうやって市場調査を行うの?」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。方法としてはアンケート、面接(インタビュー)、実験・観察等、さまざまな方法があります。インターネットが普及してきた現在では、ネットを利用した調査を行うことも比較的、低予算でできるようになってきました。どの方法が良いかは一概には言えませんが、重要なことは対象顧客となる層に対して調査するということです。
調査はTTMAに委託して行うこともできますが、資金がどうしても不足がちな起業時には自分でやってみることをお勧めします。
まず、実際に自分の足で歩いてみることです。もっと言うならば数日間そのエリアで過ごすことでしょう。時間帯によってもめまぐるしく状況が変化するはずです。きっと、思いがけないさまざまなことに気づくでしょう。どんなショップが並んでいますか?美容室やブティック、CDショップやレストラン、コンビニやスーパーマーケット、アミューズメントスポットや同業他社・・・・そして重要なのが、そのエリアを歩く人たちの層がわかります。職業分布や年齢層、その目的による行動パターン。サロンにお越しになるお客様自身の立場に立って眺めてみましょう。駐車場の位置はどうですか?看板の設置はどこにすればいいですか?遠くから目に入りますか?物件をチェックするなら陽射しの角度はどうですか?
同業他社のサロンにも実際に行ってみましょう。商品内容やサービスの質はいかがですか?システムはいかがでしたか?接客態度や雰囲気はいかがですか?そのサロンは混んでいましたか?ざっと計算すれば1日あたりの売上も推測できます。家賃相場も見当がつくはずですから、あとは従業員数を確認すれば、どの程度利益があがっているかも推測できるはず。帰ってからはインターネットを使ってそのサロンを探してみましょう。どのようなプロモーションを行っているのかがわかれば、そのサロンの戦略まで見えてくるはずです。 一般に市場調査として思い浮かぶのがこのアンケート調査ではないでしょうか。ただ、やり方を間違えるとアンケート結果がなんの意味も持たないようなものになってしまいますので、注意してください。例えば「こんなサービスがあったら使いますか?」という質問に8割の人がYesと答えたとしましょう。これで8割の人に受け入れられるはずと結論づけるのは少し危険です。アンケートでは気軽にYesと答えても、実際にお金を払ってサービスを受ける段階になると、そう簡単に財布の口は緩めないものです。アンケート調査を実施する場合には表面上の調査結果をそのまま信じてはいけない場合が多くあることに注意してください。
その点お勧めなのが面接による調査ならお勧めできます。対象顧客層に属する数人に対して1人当たり30分から1時間程度、あらゆる角度から質問すれば、顧客のことがかなり深く理解できるはずです。十分理解していると思っていた顧客層の考えが実は全く知らないことだらけであった、ということはよくあることです。面接調査ではあなたが提供しようとしている製品・サービスについての意見を聞くだけでなく、対象顧客層がよく読む雑誌、インターネットのサイト、行く場所等の情報も入れましょう。それにより事業開始後にどのようにして対象顧客にアプローチすればよいのかが見えてくるはずです。
実験・観察による調査実験・観察による調査は、プレマーケティングとも呼ばれる事業開始前には是非取り入れてみたい手法です。対象顧客層のうち、狭い範囲の顧客層に対して、実際の製品・サービスを提供して反応をみます。これにより、実際の顧客の反応を見えますし、提供しようとしている製品・サービスの改善点も見えてきます。結果が満足のいくものでなければ、製品・サービスの中身や提供手法、価格などを見直して何度でもプレマーケティングをやり直すべきです。コストはかかりますが、本格的に事業を開始してから改善するよりは、はるかに安上がりです。
いくつかの方法について説明しましたが、市場調査で重要なことは、「冷静かつ客観的に判断する」ということに尽きます。事業を始めようとしている人は、自分が提供しようとしている製品・サービスに惚れこんでいます。そうなると欠点が見えなくなるし、見えていても見ようとしなくなるものです。せっかく調査で顧客が問題点を指摘しているのに、その顧客が間違っているなどと考えては調査の意味がありません。
■マーケティングの考え方
事業を進めていくうえで重要なのが、マーケティングです。一言でマーケティングといっても幅広く多岐にわたります。では、マーケティングの基本のひとつである「4つのP」について簡単に紹介します。 4つのPとは、製品(Product)・価格(Price)・場所(Place)・販売促進(Promotion)の4つをいいます。それぞれの頭文字を取って4Pと呼ばれるもので、マーケティングの基本要素とされます。ビジネスを進める上で、マーケティングの重要性はよくいわれることですが、実際には何をどうすればいいのか、よくわからないものです。要はこの4つの要素をしっかりと考えることが、マーケティングの基本といえます。つまり、優れた「製品(もしくはサービス)」に、適正な「価格」をつけて、適切な「場所」で販売し、効果的な「販売促進」を行なうこと、これら4つの要素を最適に組み合わせる「マーケティング・ミックス」を行なうことがマーケティングのポイントとなります。
この「4つのP」と合わせて検討しておきたいのが、「事業の強みと弱み」を把握するための「SWOT分析」です。SWOT分析では、事業の持つ有利な要素を「強み(Strength)」、不利な要素を「弱み(Weakness)」として、あなた自身と事業を取り巻く状況で、有利な要素を「機会(Opportunity)」、不利な要素を「脅威(Threat)」として、はっきりさせていきます。それぞれの頭文字を取ってSWOTと呼ばれています。「強み」「弱み」「機会」「脅威」をマトリックスで組み合わせてみると事業を進めて行く上で4つの戦略を取り得ることがわかります。たとえば、事業の「強み」となる分野に「機会」があるときは、最大の事業チャンスがあることになるので、積極的に攻めてもよさそうだ、といったことを分析・判断できます。このように、SWOT分析は独立の際には、非常に役に立つ考え方のひとつとなります。
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