■労働者の退職と損害賠償
退職の申し出は、労働者側から労働契約を解約する旨の意思表示であり、会社が承認するまで勤務を継続する必要ありません。しかし、退職には一定のルールがあり、それに従った手続きをとることが必要です。 例えば、円満に退職するには、後任の手配や仕事の引き継ぎなどの会社側の都合を考慮し、事前に人事権のある上司に申し出ることも必要ですし、就業規則がある場合には、その規定に従って退職を申し出ることが必要です。また、就業規則に定めがない場合では、労働者は14日前に申し出ることによって、いつでも契約を解除できます(民法第627条)が、申し出の日から14日間を経過するまでの間は、出勤しなかった日について無断欠勤として扱い、「制裁」処分を受ける可能性もありますから注意が必要です。
経営者側が「一方的な契約の解約」を理由にある程度まとまった金額を「損害賠償」として請求できるか否かについてですが、一般論として、従業員の突然の欠勤や退職によって会社が実際に被害を被った場合には、損害賠償の請求をすることは可能です。 しかし、この場合でも、突然の退職(又は無断欠勤)と会社が被った損害との間に相当の因果関係がある場合に限られ、損害賠償額は、会社が実害を被った範囲内に限られます。
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