ヒロットは、神経や血管が塞がった状態や、筋肉や関節が冷えた状態から体を解放することを目指す、フィリピンの伝統的なトリートメント療法。タガログ語が元になっていると言われるヒロットは日本語に訳すと、“優しく触る”といった意味合いがありますが、実際にヒロットには妊婦の腰や背中の痛みを取りのぞいたり、ストレスの原因となるコルチゾールという成分を低下させたりする効果があることも実証されています。 約5世紀頃から広まり始めてきたと言われるヒロットの手技や使用するオイル、器具などは、一切書き残されておらず、ヒロットは神からの贈り物とされている神秘的なトリートメント。ヒロットはその技術を受け継いだ家系の特別な人間のみが更にその技術を代々にわたり伝授し、今に至っているものです。 トリートメントはオイルを手に塗り、圧迫や輪状揉捏をする身体の部位に合わせ、圧迫をしながら皮膚を寄せ、親指を含めた十指を使って揉みほぐしていく手法。圧を加えながら、後頭部、首、首の付け根、肩甲骨、腰の辺りまで揉みほぐして行き、皮膚、皮下結合組織、筋肉の3層に働きかけます。数多くあるオイルトリートメントの中でも、指の動きが速く、力強いのがヒロットの特徴です。 ユニークなのは殺菌作用があると言われるバナナの葉を使って、体のバランスをチェックする手法。施術の前後に、あたためたバナナの葉切れに薄くエキストラバージンココナッツオイルをのばしたものを患部にあて、体のバランスをチェック。施術者は葉を施術患部にあてるだけで、バランスの崩れている部分を発見・診断することができ、バナナの葉を使った診断後、それぞれの症状にあった治療を開始します。元気なバナナの葉はプラスの電気を帯びています。人体も通常はプラスですが、具合が悪い箇所はマイナスの電気を帯びます。ですから、体調の良くない箇所はプラスマイナスが引き合うことでくっついてしまうのです。使用するオイルはバージンココナッツオイル。ココナッツオイルは浸透性がよく、サラサラしていて、すべりが良く、肌によくなじみ、保湿効果のほか、肌の老化を防ぐ抗酸化作用もあると言われています。ヒロットは今日世界中の高級スパで支持されています。 |