■タイ伝統医学における宇宙の構成要素である「タート」「ソムットターン」
タイ古式マッサージは、古代インド医学であるアーユルヴェーダの影響を強く受けています。アーユルヴェーダでは、宇宙の構成要素を5つ(空・風・火・水・地)に分けているのに対し、タイ伝統医学では(土、水、風、火)の4つに分類しています。そして宇宙と人間の体はそれぞれが分離しているわけではなく、相対関係にあるという認識に立っているので、人体もまた4要素で成り立っていると考えられています。これらの4大要素をタートまたはソムットターンといいます。
「土」は体の20器官を構成し、「水」は体内を流れる12の液体を作り出し、「風」は体の6つの動きを織り成し、そして「火」は体の4つの熱を生成すると考えられています。 これらの4つの要素が良いバランスを保っているとき、身体は正常に機能します。また、これらの4つの要素のうち、ひとつだけが突出して目立つもので、これを「ジャオルアン」といいます。「ジャオルアン」は、母親の胎内にいるときに決まるもので、通常6歳までは変化しないといわれています。その後の育ち方や環境、食生活で変化することもあります。これらのバランスが崩れることで病気の原因になると考えられており、それぞれの人に違った性格や性質があるように、ひとりひとりに体質が区分されます。自分自身の体質を知っておくとよいでしょう。
1、タート・ディン
「土」
の要素で燃やすと土に返る性質を持つものをさします。
□「土」が構成する20の器官
髪、毛、爪、歯、皮膚、筋肉、靭帯、骨、骨髄、脾臓、心臓、肝臓、筋膜、腎臓、肺臓、大腸、小腸
新しく食べた物、古い食べ物、脳、脊髄
□ジャオルアンが「土」の場合
体格は大きく、肌はやや黒く、髪は多く黒い。声は大きくよく通り、骨は丈夫で太い。体重は重く、肥えていて頑丈で、各器官も健康である。
2、タート・ナーム
「水」
の要素で流れたり浸透したりする性質を持つものをさします。
□「水」が構成する12の液体
血液、汗、胆汁、痰、膿、涙、リンパ液、脂肪、唾液、尿、鼻水、滑液
□ジャオルアンが「水」の場合
身体や身体の各器官は健康で、スタイルが良く、肌ははりがあって明るい。
目がきれいで涙が多く、歩き方のバランスがよい。髪は美しく、量が多い。食事や行動はゆっくりしていて、飢え、寒さ、暑さに我慢強い。声がよく通り、性欲が強く子供が多い。消極的で怠惰な部分がある。
3、タート・ロム
「風」
の要素で動くことができる軽い性質を持つものをさします。
□「風」が構成する6つの動作
頭から足への風(動き)、足から頭への風(動き)、腹の中の風(動き)、胃や腸の中の風(動き)、血液の風(動き)、呼吸の風(動き)
□ジャオルアンが「風」の場合
乾燥肌でかさつきやすく、痩せ型。髪は薄く、関節は動かすと音を立てる。臆病で嫉妬心が強い。熱しやすく冷めやすい。寒さに弱く、不眠がち。おしゃべりだが声は低く不明瞭。性欲は淡白で子供が少ない。
4、タート・ファイ
「火」
の要素で燃焼して熱を発生させる性質を持つものをさします。
□「火」が構成する4つの熱
体温の火(熱)、高熱の火(熱)、老化の火(熱)、消化の火(熱)
□ジャオルアンが「火」の場合
髪、体毛、ひげはやわらかく、若くして白髪になりやすい。お腹が空いて食欲が旺盛。暑さに弱く、忍耐力にかけ、せっかち。関節のしまりが悪く、口臭や体臭が強い。性欲は中程度。 |