■他の施術法との違い
1、2~3時間かけてゆっくり行う
タイの伝統古式施術法・ヌアボーランは、本来、約2時間から3時間かけて全身の施術を行ないます。 部分的に筋肉の疲労を取り除くのであれば、数十分のクイックマッサージで十分なのかもしれませんが、タイの伝統的な古式マッサージでは、このように長い時間をかけてゆっくりゆっくり全身を施術するのが特徴です。
2、足から行う
タイ古式マッサージの流れをひととおり見てみましょう。リラクゼーションを目的とした通常の場合には、まず足からスタートします。 足裏を圧迫することで筋肉、血管、神経を刺激し、血液の循環を促します。そうすることで、老廃物も一緒に洗い流され、きれいな血液によって酸素も補給されるわけです。血液の循環が悪くなると、疲労がたまり体調は次第に狂ってきます。足は「第二の心臓」と呼ばれますが、筋肉の3分の2は足にあって、心臓から送り出された血液を再び心臓へ送り返すポンプの役割を果たしているからなのです。通常でも、足部分の血圧は上半身の血圧の10分の1程度しかありませんから、心臓からいちばん遠い足には、血液がうまく循環していません。足の裏や甲には、自律神経など全身をコントロールする神経が集中しています。 この足の裏と甲の反射区を刺激することで体調を整え、自分自身の力で健康を維持させることができます。
3、脚にこだわる
次に、脚全体をエネルギーライン(セン)に沿って圧迫します。母指の圧迫の後、手掌の圧迫というように、脚にある6本のセンを何度も往復しながら圧迫していきます。「気」の流れを促し、血液やリンパの循環を促します。血液は血管の中を巡っていますが、圧迫によって細胞内の老廃物を毛細血管へと意図的に押し出しているのです。通常、脚部分の施術だけで40分から1時間以上をかけます。これがタイ古式マッサージのひとつの特徴とも言えます。 脚部分へのアプローチを行っている段階で、腹の内臓が動き出してガスを催したり、排尿や便通を催したりすることが多くあります。つまりこれは、脚部分の刺激が自律神経など全身をコントロールする神経につながっていて、そこからの指令で自然に腸がが動き出したという解釈をすることができます。
4、全身をほぐす
脚部を十分に施術をした後は、腕や腹部、腰、背中、肩、 首、時には顔や頭などの施術を行い全身を温めていきます。母指を使ったり、手掌を使ったり、肘を使ったり、膝を使ったり、セラピストは自分自身の身体のあらゆる箇所を用途に応じて使い、レシーバーの身体をほぐしていきます。
5、ストレッチ
タイ古式マッサージの特徴は、その大胆でアクロバティックなストレッチ技でしょう。タイ古式マッサージは、「二人で行うヨーガ」とも呼ばれています。これは、タイ古式マッサージを受けるレシーバーにヨーガのポーズをとらせるだけでなく、施術を行うセラピスト自身もヨーガのポーズをとりながら施術することを意味しています。つまり、これは受ける人だけでなく、行う側の人も健康的になれるということにつながります。ヨーガでは瞑想を行いますが、タイ古式マッサージでも、瞑想に近い状態で施術を行うものです。決して力まかせに押すのではなく、何も考えずにゆったりと施術を行うものです。瞑想は、無の境地で自分自身も日常のさまざまな縛りから開放され、ゆっくり心を落ち着かせることですが、タイ古式マッサージの施術者としてこれを極めることで、肉体的にも精神的にも自分自身の健康を取り戻し、魂を開放することができるということなのです。 |