■タイ伝統医学とアーユルヴェーダ
タイ伝統医学の理論には、古代インド医学アーユルヴェーダの理論が強く影響を与えています。タイマッサージは本来タイ伝統医療の一部ですが、タイの伝統医療はインドで成立した仏教医学やアーユルヴェーダの影響を受けていると考えられ、伝統的な体液理論を特徴としています。被術者はマッサージのコースの間に多くのヨーガと同じ体位をさせられるのが特徴です。シャーマニズムやアニミズムとも深く関わっており、本来ボーンナイフを使った荒療治や聖水を使った徐霊や薬草学等と組みあわせた古式総合医学として認知するべきですが、マッサージ手技のみクローズアップされて現在に至っています。こういったトータルで施術できる人は、タイ本国でも減ってきているのが残念なことです。達人と呼ばれる人たちのノウハウも廃れてきているのが実情です。
理論上の共通点は、このようになります。アーユルヴェーダでもタイ伝統医学でも、宇宙に存在する全てが、「空」「風」「火」「水」「地」の、5つの要素によって構成されていて、人それぞれによってこの構成要素は異なるものですが、健康を保つためには、これを補ったり補完したりしていくという考え方はどちらも同じです。
しかし、全てが同じというわけではありません。例えば、エネルギーの通り道が異なります。ヨガでいう「ナーディ」はエネルギーラインのこと。これはタイ伝統医学の「セン」に相当しますが、身体の中心を通る「スマナ」こそ一致しますが、左右に走る「ピンカラ」と「イッタ」の通り道は異なるというレベルではなく、スマナを軸として身体の中心を右回り、左回りで螺旋を描くようにして存在しています。ベースの考え方は同じでも、細かい部分では異なる考え方をします。
ここでは、タイ伝統医学よりも歴史の古いアーユルヴェーダを少し学んでみましょう。 |